旅人は遠方より来たる

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争う事を好まない綺風人族は、ただ火の粉が過ぎ去る事を願い神に祈りを捧げました。 地の争いに加わる事を望まないと防戦のみで抵抗していたある日、願いが届いたのか突如として攻撃が止み、手を出していた勢力種族が消えたのです。 何が起こったのか、全く理解出来ず戸惑いはあったものの綺風人族は歓喜し、神に感謝の祈りを捧げました。 ですが地の覇権に関心の無かった勢力種族が他勢力を制したと驚き、他の勢力種族に敵とみなされ、更なる攻撃を受ける事となったのです。 地の5つの勢力種族から攻撃を受ける事になった綺風人族は、慌てふためき、今度こそ種族存亡の危機を覚悟しなければなりませんでした。 激しく大きな争いへと発展した闘いの中、力無き民もまた多くの犠牲を出す事となり、誰もが神に救いを求めました。 その声を聞き届けてくれたのか、再び争いの中に光が射し、次々と5つの勢力種族が消えました。 地の民は空に向かい手を合わせて感謝し、頭を垂れた……全て綺風人族のお陰だと感謝したのです。 綺風人族は困惑していました。 争いが地から消えた事は喜ばしい事でしたが、何故そうなったのか当の種族には理解出来ないままだったのです。 神が鉄槌を下してくださったと思う事は出来ましたが、そうするには納得出来ない情報がもたらされていました。 『二人の青年が光と共に現れた──そして疾風の如く速さで勢力種族を打ちのめし光を纏って彼方に消えた』 地では綺風人族のために王宮を建立したいと願う声が上がっていましたが、それを断るため、綺風人族は(くだん)の二人を探す事にしました。 (しん)に地を制したのは自分たちではないからです。
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