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ゲートの動きに合わせて巨大な門が轟音を響かせて地面を震わせた。
ゆっくりと少しずつ離される両手とともに門は開かれる。
3人を乗せたボート・シップは開いた隙間に向かい、ゲートは顔を歪めて見送った。
「ほんまに、気ぃつけや……また来るんやで、クロウ……ナルも、絶対や」
ゲートのオレンジ色の丸い瞳からポロポロとまた大粒の涙が落ち始めた。
ゲートは雲に乗ったままナルの復元した果実を拾い上げ、匂いを嗅いでから囓りついた。
ボート・シップがプレアの門を潜ると暫くしてゴゥゥ……ンという音が空気中に振動して伝わってきた。
闇夜だった空は薄く明け始めて黒い中に赤い線を引き始めていた。
カポンカポン……と間の抜けた音を鳴らして肌寒い空気中をすいすいと進んでいく。
3人は其々コートを着込み、無言で座る。
クロウは麻袋の口を開けて中から紙袋を取り出し、中のパンを食べ始めた。
ナルとリョクシにも薦めて手渡し、ナルは機嫌良く口に入れたが、リョクシは手にしたまま空の中へと視線を游がせた。
『炎が解き放ち、瞳が開かれる時、真の姿降りて 光────』
神の言葉が頭に浮かぶ。
レディを思い出し、目が潤む。
鼻を啜って、息を吐く。
僅かに白い息が風となって流れて消えた。
〈村に……帰る〉
そう考えるだけで体が震えてしまう。
その様を瞬きもせず、じっとクロウの深緑の瞳が見詰めていた。
ボート・シップは白く青味を帯びた空を間の抜けた音を発して進み続けた。
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