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「タケルから返事遅いなあ。既読になってないから仕事忙しいんだね」
里香は次第に不機嫌になった。眉間に皺を寄せて苛々してきた。
物事が自分の思い通りに進む事が当然だと思っている私達にとって、たった五分待たされる事もストレスになった。
いつも私達は危ない橋を渡っていた。警察や暴力団に目をつけられないように細心の注意を払っていた。小遣い目的で体を売ってるのは何も私達だけではなかったが、トラブルにならないように気を付けていた。勿論、トラブルになった場合の手は打っていた。悪さしまくっている男友達ナオトに頼めば、どんな最悪なトラブルも大概片付いた。というか、ナオトは寧ろそれで金儲けをしているような人間だった。
私達は小遣い目的だったが快楽やスリルも求めていた。いわば、冒険に出た勇者のつもりだった。
中年男達に抱かれているのは居心地が良かった。私達の肉体を礼賛し貪る姿に優越感を覚えた。私達は天使であり、悪魔だった。
私達が身を削って稼いだ大金は、いつもあっという間に消えていった。
私達は稼いだだけ好きな物を買った。高級ブランドの服やカバン。靴。下着。アクセサリー。化粧品。香水。欲しい物は、いくらでもあった 。
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