苛立ち

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「ねえ、タケルんち臭いよ。マジで酷過ぎ。ちょっと窓全開するよ?」 私はタケルを叱るように強い口調で諭しながら、急いでカーテンと窓を全開した。 新鮮な空気が欲しかった。空気は無料なのに何で入れ替えないのかな?本当に大人は馬鹿だと思った。 ベランダから近所の住宅街の部屋の灯りが見えた。 部屋の散らかりぶりが気になる私は黙々と部屋を片付けた。 散らばったエロ本やエロDVDを片脇に寄せて積み上げた。 異臭だらけの布団に置いてあったファブリーズをかけた。 食べ散らかした皿やゴミも素早く片付けた。 あっという間に部屋らしくなった。 里香は拍手した。煙草を咥えながら。 「麗子、サンキュ。麗子は綺麗好きだもんね。あたし掃除苦手なんだ」 少しも手伝わなかった里香は言い訳した。 「麗子ちゃん、ありがとう」 タケルは喜んだ。照れていた。 私は苛々しかけていた。 「里香こんな汚い部屋でヤッてたの?キモイ」 里香に呆れた。 「あたしは平気。汚いとこで犯されるのが好きだから。男の匂いとかするし」 開き直る里香。笑ってる。 「そうだったね。忘れてた」 私の負けだった。
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