勇者

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いつも私は苛々していた。 大人に反発していた。 社会のルールや常識を押し付けてくる大人達に疑いを感じていた。 まともそうな顔をした奴に限って、悪事を沢山していた。 平気で少女の体を昼間から街中で買うサラリーマン。 私は売りをしながら、抱かれながら、大人達を軽蔑していた。 自分勝手な大人達だった。 私がコンビニの前で大股開きでパンツ丸見えで座っていても、誰も注意してくれなかった。 むしろ好奇の目で、じろじろと覗き込む中年男。 欲望の解消には、風俗では飽き足らずに、若い少女の体を貪るいやらしい男達。 私は、ほとほと嫌になった。 私は心が空洞化していくのが解った。淋しかった。 多くの大人達に買われながら、一時の快楽に身を任せつつも、冷めていった。 普通の恋がしたかった。
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