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「信爾さまが倒れた?」
瞬く間に噂は広がり、血相を変えた頼爾と悠羅が寝所へとやってきた。
「あ…っ、頼爾さま、信爾さまが…!」
いたのは青ざめた顔の真火。信爾は静かに布団で眠っているようだった。
頼爾は頷き、悠羅は落ち着かせるように真火を抱き締めた。
「き、きゅうに…倒れたんです」
真火から状況を詳しく聞いた頼爾が、眉根をひそめた。
「『見てください』と、言った…?」
「ええ…倒れる直前に。なにを見てと言っていたのかは、わからないんですが…」
「ふむ……」
ひとつ唸って考え込む頼爾。
しばらくの静寂のあと、す、と立ち上がった。
「…少し、使いを出してくる。信爾が目覚めたら教えてくれ」
そう言い残すと、頼爾はその場を離れた。
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