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「惺寛さま」
隣に座る真火が、静かに声を出した。
「……ずっと、ここにいてくださいますか?」
「え……わ、私なぞが、いても良いのか…」
自然と声が震えた。
あんなことをしてしまったのだ。このままいていいはずがない。
けれど真火の目は優しく、力強かった。
「もし、あちらに居場所がないのでしたら…ここなら、皆さん、惺寛さまを必要としています」
「……そ、うだろうか…」
「そうですよ!」
屈託なく笑う真火に気圧されて、惺寛は笑った。
「…敵わないな…。…わかりました、少しなら…」
真火は本当に嬉しそうに笑った。
この笑顔のためだけでも、いる理由はあるのかもしれない。
そう、素直に思えた。
笛の音と、舞。
夢のように美しく、幸せな場所。
ここにいられるなら、少しの間、身を寄せようか……
惺寛は清々しい気持ちで、星空を見上げたーー
完
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