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人生で最高の瞬間ーー
そんな言葉が脳内を駆け巡ったとき、ふと目の前にふわりと白い小さななにかがすり抜けていくのが見えた。
美しい、花びらにも似た雪の結晶。
ひらひらと舞い降り、静かに溶けていく。
「あ…見てください」
小さく声を出すと、えもいわれぬ違和感が信爾を襲った。
「……あれ…?」
「信爾さま…?どうされました?」
咄嗟に真火の肩を引き剥がし、その場に膝をついた。
「えっ!?さ、信爾さま!?…顔色が…!」
心配する真火の声が、どんどん遠ざかっていく。
舌はじんじんと痺れ、指先の感覚もなくなっていく。
麻痺は広がって、心の蔵までいくような感覚に陥る。
ーーそしてそのまま、気を失って倒れてしまった。
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