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それから一週間もの間、信爾は目を覚まさなかった。
真火はその間、毎日一輪の花を持って見舞いに来た。
「真火どの」
「あ……頼爾さま…」
「……苦労をかけるな」
頼爾の言葉に、真火は目を伏せて首を横に振った。
「もうすぐ…目を覚ましますよ」
力なく笑う。その瞬間、思わず頼爾は真火を抱き寄せた。
「よ、頼爾さま…」
互いの香りが一瞬混ざりあったそのとき。
コト、と物音がして弾かれたようにそちらを振り返った。
「さ、信爾さま…!?」
真火が足早に寝所へ向かう。
頼爾はその背中をただ黙って見ていた。
「真火さま、大丈夫でしょうかね…」
「!ゆ、悠羅…いたのか」
「真火さまなら許します」
ふふっ、と悠羅は笑って、寝所へと向かう。頼爾もため息を吐きつつあとに続いた。
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