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頼爾が寝所に歩を進める間、一言二言、声が聞こえた気がした。
けれど、思っていたような歓喜の声は聞こえてこない。
不思議に思って襖の奥を覗き込むと、責められた子どものような、無垢な瞳と目があった。
「……よ、頼爾さま…」
戸惑う声の真火。
様子がおかしい。
「…信爾か…?」
我ながらおかしな問いだ。
けれどそのぐらい、目の前の信爾には違和感を覚えた。
「あ、あの」
信爾の声は、怯えていた。
その顔を見て、頼爾は絶句した。
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