石榴の実

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頼爾は少なからず衝撃を受けていた。 この妖の蠢く都で、魅力的な力を放つ信爾が狙われるとこは多い。 けれどそれによって記憶まで失ったとしても、自分のことまでは失わないのではと心のどこかで泰然と構えていた。 目の前にいる信爾は、こちらの目を見ようとしない。すがるように真火の目を見つめている。 自分の愚かさに嫌気が差したーー 「頼爾さま、いまは真火さまにお任せしましょう」 無意識に組んでいた頼爾の腕に、悠羅がそっと手を置いた。 頼爾ははっとなり、一つため息をつくと頷いた。 「……真火殿、頼めるか?」 「はい、大丈夫ですよ」 にっこりと笑う真火が頼もしい。 そうだ、少し風にあたろう。この騒動をしでかした妖を突き止めなくては。 頼爾は悠羅と部屋を出、襖を静かに閉めた。
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