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「頼爾さま、調べますか」
悠羅の目が輝く。
頼爾はつと考えてから、首を横に振った。
「…まだ動きが読めない。まずは別の者に行かせよう」
言って唇に指を当て、ぼそぼそと呪いを唱える。
すると風に乗った花びらが集まり、見る間に人の形になった。
「紫香、頼む」
唇にあった指を離すと、紫香はその方向へとふわりと舞い散っていった。
「…玻璃月さまの使役してた妖ですね?」
悠羅の目がキラキラと輝く。一方の頼爾はしぶしぶといった表情だ。
「…別に、好んで遣うわけではないが…」
『頼爾、この子は君が使役するといい。従順だし、情報収集も早い。役に立つだろうから』
無駄に甘く響く玻璃月の言葉を思い出す。
「いいと思いますよ。あの子も、喜んでるみたいだった」
「……そうか。まずはこれでーー」
頼爾が言いかけたとき、
「きゃあああぁ!」
真火の声に、頼爾と悠羅は寝所へと走り込んだ。
すると寝所からも真火が走ってくるのがわかり、頼爾は思わず目の前に現れた影を抱き止めた。
それはふんわりと柔らかく、温かかった。
「……!?」
「よ、よりちかさま…さ、信爾さまが…!」
真火が胸にあてた手をぎゅうと小さく握った。
「……小さく、なっちゃいました……」
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