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見上げた世界は、驚くほど眩しかった。
一瞬目がくらんだが、そのすぐあとに大きな掌が脇の下へと滑り込む。
「よぉーしよし、良い子だ」
空高く抱き上げられ、ぷらんと揺れる足が心許ない。
(…あぁ、これは)
頼爾はようやく合点がいった。
これは自分の身体が小さくなったわけではない。いつの間にか、誰かの記憶の渦に呑まれてしまっていたらしい。
(信爾…の、か…?)
相変わらず目の前は眩しく、抱き上げている男であろう人の顔も見えない。
どうやらかなりの力で記憶に溶け込んでしまったらしい。
(ここまで力が強くなったということか…)
眠っている間に溢れだした力が、この幻覚を見せているようだ。
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