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僕の中では一つ一つの過去が小さな宝石のように光り輝いていて、一人一人の顔も鮮明に浮かび上がる。だが輝きすぎているからこそ、僕はその色が失われるのが怖かったのだ。「自分史」という枠に全てを過去として閉じ込めたくはない、今の僕があるのは真珠のネックレスのように過去からつながっているものだと信じている。
そうだ、彼女には真珠が似合うかもしれない、そう僕は考えたことがある。メッセンジャー等での彼女との会話は、他の友人と同様に笑いあり、時にはシリアスになりと約一年間続いた。
僕に対して彼女はいつも優しく、だが僕だけではなく、誰に対しても同じ態度で接していたように思う。恋愛感情のような、駆け引きのある何か別の感情が生まれるわけでもなく、窓から見える大木の葉の様に気持ちの色が変化するわけでもなく、特別な女性とも思えなかった。
ゴールデンウィークが過ぎた頃、僕はいつものように彼女とネットで話をした。
僕は冗談交じりに彼女にこう言った。
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