第1章

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「翔どこ? 翔ー?」 「ここだよ、ユキ」 「翔!」  ユキは、寂しがり屋だ。俺の姿が見えないとすぐに不安そうな顔をして、きょろきょろする。  今だってそうだ。俺はただ風呂に入ってただけなのに、この数十分でもユキの表情は不安そうだ。  俺の姿を見つけて嬉しそうに駆け寄ってくるユキのことが、俺は可愛くて仕方がない。  濡れた髪をタオルで拭きながら部屋の加湿器のスイッチを入れて、冷蔵庫からサイダーを取り出す。風呂上がりの炭酸は、身体に染み入るから好きだ。 「ユキも飲むっ」 「炭酸だから飲んだらびっくりするぞ?」  スプーンに掬って口に入れてやると、「うわっ!?」と目をぱちくりさせて驚いているのを見て思わず笑みが零れる。だから言ったのに。
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