第1章

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 人形が、こちらを見ていたから。 「アナタハ、ダアレ?」 「うわっ、やっぱり今のはお前なのかっ!? 何で人形が喋って……!」  ぎょろりとした目の動きはやはり人間そのもので、俺は何でこんなことが、と混乱していた。 「アナタハ、ダアレ?」 「何なんだよ、さっきから何回も! 翔だよ、谷崎翔(たにざきかける)!」 「タニザキ、カケル……カケル……」  俺から目を逸らしながら何度も名前を口にするそいつは、やがて再び俺を見上げてくる。人形に見上げられる変な感覚が、何だか妙な気分にさせる。 「カケル、オナカ、スイタ」 「……はあ?」  何言ってるんだこいつ。人形が飯食う気かよ。どう考えたっておかしいだろ。
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