第1章

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「……」  何か、視線を感じる。  ちらりと左を見ると、テーブルに置いた人形がこちらを凝視してる。な、何でそんなに見るんだよ。 「……食べたいのか?」 「タベ、タイ」  拙い動きで小さな両足をバタバタさせるその姿が何やら可愛らしく思えて、「分かった、分かった」と言いながら人形をさらに近くに引き寄せて、箸で小さく一口大に切った厚焼き卵を摘み、人形の口元に近付ける。  ゆっくりとその小さな口を開いた人形がぱくりと効果音が付きそうなほど可愛らしい仕草でそれを口に入れた。  もぐもぐと普通の人間より遅いが確かに咀嚼して、やがて飲み込んだ。 「オイシー!」  そう言ってにぱっと笑う表情は愛らしいという表現がぴったりなほど。
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