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「洋輝さんに感謝しなくちゃね、丞くんと別れてくれてありがとうって」 「ははっ」 「そうだ秘書さんにもお礼言わなきゃね!洋輝さんを好きになってくれてありがとうって」 「あいつにはいらねーよ」 恵次の手が丞の髪に触れる。 「猫っ毛…丞くんよくさ、僕の髪をかき回すのはなに?」 「んー?さぁ?動物とか撫でる感覚?」 「ふうん」 「…恵次、」 呼びかけると優しそうな垂れ目が丞を見つめ返す。 雨の夜に、拾ってくれたのが恵次でよかった。 「全部、報われた気がする…ありがとう」 「本当に思ってる?」 「思ってるよ」 「じゃあ、もう一回」 「それはしない」 「えぇええ」 今度は大げさにがっかりするので丞は笑ってしまった。 これまでの恋人に対する「好き」とは少し違う。 隣で笑う恵次へのあたたかい気持ちをどう伝えればいいのだろうと丞は思った。 「な、俺らこれからどうなんの?」 「どうって…変わらないんじゃないですか、エッチはしますけど!あ、浮気しちゃだめですよ」 「っふ、こっちのセリフだっての」 友だちではあり得ない距離で肌を合わせ、唇を交わした。 恵次の手慣れてない様子が丞には心地よかった。
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