プロローグ  Kneipe 1

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街の盛り場の外れの少路を一本入った場所に佇む、年代を感じさせるビルの二階。 おおよそ外見からは、そこにバーが在るとは思いもよらない、喧騒から離れた所にそれはある。 Knipe ドイツ語で酒場を表す店の名前を挙げるのは、此また年代を感じさせる木製のドアに嵌め込まれた硝子戸に浮かぶ白い文字だけだ。 だが、その寂れたような見掛けとは違い、北陸の地方都市に六十数年に渡り名を轟かせる老舗バーだ。 人々は其処へ一欠片の日常を落としていく。
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