2章:出会い

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典子がお店の前についたのは 待ち合わせ時間の15分前。 まだお店の看板の前、 待ち合わせ場所に久美の姿はまだなかった。 お店「Vanity」は六本木の大通りから 2つ路地を入った小道の一角にあった。 地図と案内がなければ絶対にたどり着けないお店。 そんな雰囲気のおしゃれで小さなイタリアンレストランだった。 お店の外から、中の様子を見ることができないが、 いかにも趣味のよさそうな看板と扉があった。 典子はそのレストランの外観を見ただけで 思わず興奮してしまった。 31歳の主婦の主婦にとって、 六本木の雰囲気の良いイタリアンレストランなんて 輝かしすぎる。 典子は思わず、 夫の健一に心の中で感謝してしまった。 家族のために一生懸命働いてくれているのに、 妻の私が夜にこんな場所に来ることを認めてくれた。 健一はとても優しい夫だった。 思えば、 結婚してから健一が怒った姿など見たことがない。 典子にとって、 健一は理想的な旦那だった。 ほんと、 なにひとつ不満はない。 でも、、、、 典子はスマホの画面を確認した 久美からラインが入っていた。 『ごめん! 仕事で少し遅れそう、、 先にお店に入ってて!』 典子は仕事が長引いて、 パーティが始まる時間に遅れる、とのことだった。 典子は久美に返信した。 『わかった! 大丈夫よ。お店の前で待っています』 さすがに誰も知らないパーティに 1人で入るのは気がひけた。 典子は久美が来るまで お店の前で待つことにした。 ふと腕時計に目をやった。 時間はパーティ開始の時間になっていた。 典子は夜空を見上げた。 高層ビルの間から 星が光っているのが見えた。 そのとき、 典子は後ろから肩を叩かれた・ 典子は振り返った。 (続く)
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