仕事終わり

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〈涼秋〉 涼秋「まったく。加減というものを知らないのか」 神楽「死んでないんだからいいだろ」 神楽は、死なない。 この二年間、同じチームとして見てきたが、どんな怪我を負っても死ななかった。 麗月のおかげもあるだろうが。 涼「死んでないからって、治療にもお金がかかるんだぞ?」 神「最近出てきた魔物とか言われているやつでも狩れば金になる」 魔物って言うのは、最近現れた異形の者たち。 大半は意思疎通不可。まれに居るらしいが、そいつ等はこれまた異様に強いし、人間でも使える者は少ない魔法というものを使う。 魔法の方こそよく分かっていない。 人によっては火を出すし、水を動かすし、風を起こす。 使用法も不明。 使える者が今見つかれば、確実に施設行きだ。 俺も使えるが、チームメンバーにもバラしてない。 使い道もいまいち分からないしな。 涼「この前ドラゴンに食われかけたのは誰だっけ?」 神「あれは……悪かった」 あら、神楽が謝るなんて珍しい。 ドラゴンに食われかけたのは、麗月を庇って口の真ん前に行ったからで、しかもその後一度飲み込まれて中から喉元を切り裂いて出てきたし。自分で出てきたからって謝らなかったし。 無理したせいで刃物は駄目になった。その後数回、素手で首絞めるの大変そうだったなー。 涼「悪いと思ってるなら、大人しくしといてくれるよね」 何処かからロープを取り出し、神楽を縛る。 神「ちょっ、涼秋!?離せ!」 涼「暴れんなよ怪我人。運べないだろ」 神「必要ねぇ!歩けるし」 涼「脚ボロボロだけど」 綺麗な桃色の肉の隙間から、白っぽくて細長いのが見える。 神「……どうにかなる」 涼「どうにもならないよっ」 18歳にしては重い神楽を担ぎ上げる。 神「おい」 涼「なに?降ろさないよ?」 それは別に、と珍しく許可を貰えたが。 神「姫抱きは無い」 涼「可愛いから良いじゃない」 良くねーよ!と叫ばれるが気にしない。 人には見られないように、暗い道を静かに歩く。
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