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地球とは違う世界にある、とある国のとある魔法学園にも、地球の日本と同じように生徒会執行部がある。名指しなのは大人の事情というやつだ。そして、1人の生徒会長を頂点に、副会長、書記、庶務がそれぞれ2人ずつ。
ちなみに学園への在籍期間は5年なので、どちらかというと魔法騎士団であったり、魔法開発、魔法化学といった、魔法を用いた職場への即戦力となる人材になりやすいとかなんとか。――結局は本人次第だとは思うが。
話が逸れてしまったか。
とにかく、俺、『ラディス=ノクターン』(17歳、3年生に進級したばかり)はその魔法学園の生徒会庶務職を担っているという訳だ。
その庶務職の朝は、たまに早い事があるから面倒くさい。鏡に映るのは中性的とも言われがちな、寝起きの俺の顔。黄色に茶色のアッシュが入っている髪(地毛)は普段よりもボサボサになっていて、濃い藍色の眼はいつもより充血気味に感じる。心なしか疲れ気味の顔を洗いながら、登校準備を進めていく。
朝食やら授業やらの準備を終えて制服に着替えた俺は、自転車に乗って約15分の道のりを走り始めた。魔法が使用できたらもっと早いのだが、『身体の健康のため』というよく分からない理由により魔法を使っての登下校は禁止されている。――制服に魔力感知の術式が組込まれているので、ズルもできない仕様だ。
朝もやに包まれている町並みを横目に見ながらしばらく走ったところで――
「ヒャッッッハァァァアア!!」
自転車で爆走する同じ魔法学園の風紀委員とすれ違った。……いや見間違いだな、あれは。
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