63ー4

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 ここに集まった時、全員の表情は固かった。  小野田を責める者はいなかった。  むしろ、全員が自分自身を責めていた。  小野田の負担に気づけなかった自分を。  援護となる点を取りに行けなかった自分を。  みんながどこかに理由を見つけて責めていたのだと思う。  だけど……  この試合中に起こった出来事は、誰かが一人で背負うものではないのだと、一人一人がそれぞれに背負うものでもないのだと、今、教えられたのだ。生意気で憎たらしい後輩によって。  俺はスッと息を吸い込み、小野田にまっすぐ視線を向けた。 「小野田、ナイスピッチングだったよ。正直今までで一番良かった。だから、あとは俺たちに任せてくれ」  小野田はうつむいたまま、小さく首を動かすようにして頷いた。 「……うん、頼んだわ」  そう言ってベンチへと戻っていく小野田の背中に、兵頭が大きな声で言った。 「こんなところで終わりになんてしませんから!」  その声に小さく肩を揺らしただけで、小野田は振り返らなかった。  俺たちは自分たちの肩にのしかかっていた空気を消し去るように、大きく息を吸い込む。  そして、ほんの一瞬だけ目を閉じた。  風が耳元で囁くように吹き抜ける。  目を閉じると気づくことがある。  瞼で覆われていても、決して真っ暗な世界にはならないということ。  光はまっすぐに降り注いでいるということ。  目を開けている時の方が気づかないのかもしれない。    この世界が、とても明るいということに。      やがて静かに広がった視界は、仲間の顔と熱い夏の空気で覆われていた。    
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