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この興奮を共有しようと、以前はよく妻に観せようとしていた。
「あなたってほんと悪趣味。人の首が切られる所を平気で観れるなんて、異常よ。もし自分の子供が同じように殺されて、それを興味本意で不特定多数の人達に観られたら嫌だとか思わないの!?」
うちには孝太という、小学三年生の息子がいる。
孝太はまだ子供で、海外に一人旅など出来ないし、ましてや危険な地に足を運んで首を切られるなど、あるわけがない。
妻はいつも「もし」、から始まる空論を言うのが癖で、クダクダと、こちらが納得するまで言い続けるのが、鬱陶しくてたまらない。
前例のない事ばかりを口にする女で、神経質すぎる。
今まで起こらなかった事は、これからも起こらない。
悲惨な動画は、そもそもUPした奴がいるからで、尋常じゃない再生回数が、それを娯楽として観ている証だ。
酷いことは、そうそう身の回りに起こるものではない。
他人事だから、いいんじゃないか。
それをいちいち、「もし、私たちが」と勝手に脳で変換して深みに陥る、妻の思考が全く理解出来ない。
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