- 未知との遭遇?! -

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 店に入った以上、何も頼まないと言うわけにもいかず『さて、どうしたものか』と考えていた時だった。店内の宵のすぐ傍の席で、俄に騒ぎが起こった。 「何だと、この青二才がぁ!もういっぺん、言ってみろっ?!」  見ると、こんな時間から既に酩酊している浪人が、一人の青年に管を巻いていた。青年は如何にも『優男』と言った風体だが、二本差しであるようだった。 「んな耳元で、がならなくても聞こえるっての。店の迷惑になるだろ。相手してやるから表出な。」  優男は動じることもなく飄々としている。(おの)が腕に自信あるのか。それとも、ただの蛮勇か………。  ふと、宵は『優男』の力量に興味が湧き、表へ出た。すると、既に遠巻きに人垣が出来ていた。  普段は見て見ぬ振りを貫き、己に火の粉さえ掛からなければいい、と思っているような『ことなかれ主義』で日和見な物見高い連中。  人垣を掻き分けて前の方に来ると酩酊した浪人が優男に刀を向けていた。対する優男は、ひたすらな顔をしていた。  職業柄、初見で他人の『強さ』を推し量ることに長けている宵。
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