天才とは何かと何かの紙一重

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 いっちに、さんし。  みなさん、おはようございます。  ただいま私、屋敷のお庭で朝のラジオ体操中ですので、しばしお待ちを。  「……すぅーはぁー、すぅーはぁー」  ……よし、今日も元気に神様修行と勉強とお子様生活いってみよー。  しっかり体操を終えて満足した私がクルリと振り返ると、欠伸をかみ殺している真っ最中の綾芽と目が合った。  美形は何しても美形にしか見えないって本当なんだなぁって思う。  タタタっと綾芽がいる縁側に駆け寄り、踏み石で靴を脱いで私も縁側へ上がった。  「髪の毛くしゃくしゃしてるやん。動かんといてな?」  体操したせいで若干乱れた髪の毛を、綾芽が優しく手すきで直してくれた。  二人でほのぼのとした時間を過ごしていると、キョロキョロと周囲を見わたしながら歩く薫くんが廊下の角から現れた。  「あぁ、いたいた。綾芽、ちび。朝食できたよ」  「きょうのごはんは?」  「さわらの西京焼きにほうれん草のお浸し、玉葱の卵とじ……って、ちび、よだれ」  「はっ! えへへぇ~」  いかんいかん。想像したら、よだれが勝手に。  これだから食い意地が張っていると言われるんだろうなぁ。  服の袖でごしごし拭って、呆れかえっている薫くんにニコッと笑っておいた。
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