夏といえばアレ

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 「おばーさんいじめちゃ、めっ、なの!」  いつか見たアニメみたいに、腰に手を当てて仁王立ちになる私。  そんな私を見て、プッと一人が吹き出すと、男達の間に大きな笑いの渦が起こった。  「めっ、だってよぉ!」  「おじょーちゃん、大人の大事なお話に入ってきちゃ、めっ!」  「ぎゃはははっ!! お前、なんだよそれ!」  「ちょーウケるし!」  むむむ、むかーっ!  むーかーつーくー!!  「お、お嬢ちゃん、助かったわ。だからもう……」  いーえ、おばあちゃん。  ……私はやられたらやり返す子です。  ゲシッ  「うわっ! 何すんだこのガキ!!」  「うわーん!! いーたーいーよー。ほねがーおれたのー!! パ……おとーさーん!!」  折角買ってもらった浴衣だけど、私の小さなプライドの前ではごめん、安いものだ。  「おうおう。それじゃあ、俺達と大人の話しよーじゃねーか」  「たーっぷり色んなお話聞かせてもらおか」  「我が娘を……よくも泣かせてくれたわ。この件、そなたらの命で……  「はーいはい。それは過激すぎやからストップや」  ……あり?  私の中では、アノ人が追っ払ってくれるはずだったんだけどな。  まぁ、いいや!  頼るなら断然こっちの方がいい!  「あやめー! かいとー!」  「よっ、正義のヒーローやってんじゃねぇか」  腰の刀に手を当てたまま、男達の背後に回る綾芽と海斗。  いつにも増してカッコいい!!
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