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「これねー、みっつあじがあるの。えっとね、わたしがつくったのがあんこので、おねーちゃまがいちごのジャムのやつとチョコのやつ!」
「そう。私は餡子のやつが一番好きだわ」
「むふふ。つぶあんはでしゅか? こしあんはでしゅか?」
「そうねぇ、どちらだとかはないわ。生地とかモノにもよるし。これだとこし餡がいいわ」
「こしあんならこっちでしゅ」
私は作った人特権で分かるように入れていた目印を見て、おばあさんにこし餡のミニ大福を渡した。
古今東西、餡子で争うのが、つぶ餡かこし餡か。
私はどっちも好きだけど、どっちかが好き!って人は一定数いると思ったから両方で作ってみた。
それにしても、こし餡はまだしも、つぶ餡のミニ大福作るの難しかったー。
だって生地で餡子を包む時、ただでさえ小さい手なのに、つぶつぶ餡子が包まりたくたいって反抗してくるんだもの。
何度つぶ餡を潰してこし餡にしてやろうかと思ったか。
「あ! こちらにいらしたんですね!? 探しました!」
おばあさんと味比べしながら一緒に食べていると、少し離れたところから男の人の声がして、おばあさんはそちらを振り向いた。
見ると男の人がハァハァと息をきらし、流れる汗を手の甲で拭っている。
「あら、見つかってしまったのね。それじゃあ、私はこれで失礼するわ」
「あい。おはなしできてとってもたのしかったでしゅ」
「私もよ」
おばあさんはベンチから立ち上がり、最後に私の頭を撫でてから、迎えにきた男の人と一緒にどこかへ去って行った。
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