天才とは何かと何かの紙一重

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 綾芽は私をひょいっと抱え、特等席に座らせてくれた。  幼児用椅子だから特等席なのも当たり前なんだけどさ。  「いっただきまーしゅ!」  まずはさわらの西京焼きを一口。  ……はうぁあぁぁっ!!  口に含んだ瞬間、さわらに染み込んだ味噌とかみりんとかの味がぶわぁっと広がった。  けれど、決して調味料の味だけじゃなく、さわら自身の旨味をこれでもかと引き立たせる側に回っている。  おいしぃよぅ。  これはご飯がとまらんですなぁ。  「そんな慌てたように食べへんくても、誰も君から盗ったりせぇへんよ」  「ふぁって、ふぉいしーの」  「口に入れたまま喋ったらあかん」  「……あい」  ごくりとそれまで食べていたものを飲みこみ、素直に返事をした。
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