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二話 鬼の女の子
ヒロは急いで朝食をすませると、すぐに家を出ようとした。
「ヒロ、ちょっと待ちなさい」
(まさか、神社の鏡を割っちゃったことが、ばれた……)
びくっと背中を震わせて振りむくと、しわを寄せてにっこりと笑う、ばあちゃんの顔があった。
「これを持っておいき」
そう言って差し出されたのは、水筒と巾着袋。
「これは?」
「おにぎりを握っておいたから、お昼はこれを食べなさい」
(やった、これで一日中神社にいられる!)
ヒロは、小踊りしたい気分で受け取った。
「行ってきます!」
心が清らかになるという、巫女の装束をまだ着ていないというのに、ヒロはとても清々しい笑顔で挨拶をして、神社へとかけ出した。
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