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途中、帯の止め方などで神歩に手伝ってもらいながらも、どうにか巫女の装束に着替えたヒロは、恵子のもとに戻った。
「お、ちゃんと着替えたな。よしよし」
言いつけ通り、巫女の格好をしているので、恵子は機嫌がよさそうだ。
「着心地はどうだ。明日からひとりで着れそうか」
「え、あの、その」
ヒロがしどろもどろしていると、代わりに神歩が答えた。
「だいじょうぶみたいですよ。ただ、着物にはなれていないようなので、ひとりで着るのはまだ難しそうですね」
「わかった。それじゃあ、今日からよろしく頼むな」
はじめ、ヒロはそれを自分にむけられた言葉だとは思わなかった。
もう一度、目の前で言われたので、自分にむかって話しているのだと気がつき、びっくりした。
「神歩、いろいろと教えてやってくれ。私はちょっと出かけてくるから」
「はい、わかりました」
恵子が部屋から出ていくのを、神歩はお辞儀をして見送った。
神歩が顔をあげても、ヒロはまだ、びっくりが残ってて心が落ち着かなかった。
なにせ、大人の人に面とむかって「よろしく頼む」と言われたのは初めてのことなのだ。
まるで、自分が一人前になったような感じがして、嬉しかった。
「ヒロくん、境内の掃き掃除から始めましょうか」
「は、はい!」
元気よく返事をしたヒロを見て、神歩は少し驚き、それから、にっこりとほほえんだ。
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