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がちゃり。
「ただいまー。」
「おう、おかえりー。」
奥から出迎えに出てきた母はラオウのような見た目。僕の買ってきた物を小指に引っ掛けて受け取ってくれた。
ちなみに父は持木モヤシという名前。察してくれるとありがたい。
「あれ?そういえば母さん、今日仕事休み?」
居間のテーブルイスに腰掛けながら尋ねる。母は何やら調理中。生肉をぶん殴ったり引きちぎったりしている。
「あー、うん。ほら、午後にダーが出張から帰ってくるからさ。休みとった。」
肉汁まみれの手で入れてくれたコーヒーを受け取りながら相槌を打つ。
母の言う、ダーとはダーリンのダー。そしてラオウが頬を赤く染めるな、きめえ。言えないけど。
信じられないことにラオウとモヤシはラブラブなのだ。
「なあ、母さんってさ。親父のどこがよくて一緒になったの?」
ふと気になり、問う。
「え?
そりゃまあ・・・」
さらに頬を染めるな、ラオウ。
「・・・逞しい所。ヤンヤン」
ぐふっ。唇を噛み締めてツッコミと嘔吐を堪える。
あんたの方が逞しいよっ!乙女化すんなっ!きめえっ!!
「そ、そう。ど、どの辺が?」
コーヒーをまた一口。
「うーん、飛び交う砲撃の雨の中、母さんを背にして一歩も引かない所とかー。どゅふふふ。」
ぐふっ。また堪える。そろそろ唇切れそう。あんたら一般人だろう。
なんで戦士っぽくなってんだ。そもそも親父が母ちゃんの盾になったってせいぜい腕一本しか守れねえよ。
「そ、そか。ありがと。
んじゃ。」
なんだかバカバカしくなり、自室に引っ込もうと席を立つ。
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