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パタン。
自室へと戻り、ドアを閉めて一息つく。
僕はニート。自宅警備員であるとはいえ、両親との関係は良好である。そんなものいらんっ!と受け取ってはもらえないものの毎月少なくないお金を家用に積み立てているし、両親仕事で留守の時は家事代行だってこなすのだ。
だからといって人と触れ合うのが疲れることに変わりはないのだが。
ふぅ。
「さてと、それじゃあ出張お帰り祝いだ。車でも買ってやろっかな。」
仕事モードに切り替えて、パソコンの前に座る。
ぶぃぃぃいぃん。
立ち上がるパソコンの画面。
細かくまるで波のようにのた打つグラフは株価変動チャート。
そう。俺が今生業にしているのはデイトレーダー。
人生の全てにおいて平均値を示してきた俺は自然と物事の平均を見極める能力を身につけており、株価変動グラフを少しでも見ればその銘柄の平均値が、だいたいわかる。
つまり俺がやることは、その平均値より大幅に低い数字に落ち込んでいる銘柄を見つけて買っておくだけ。そして後は平均値近くまで上昇するのを待ち、売り抜ける。
この地道だが堅実な作業により、俺の資産はすでにとんでもない数字となっているのだ。
・・・もっとも母に言わせると、そんな訳の分からん能力で稼いだ金など、所詮アブク銭にすぎん!
となってしまうのだが。
そりゃあ俺だってこんな珍妙な能力で大金持ちぶるのイヤだし、何よりいつ消えるかわからない説明のつかない先行き不透明な能力なのだ、本当なら何か一生懸命になれる仕事についてみたいとは思う。思うがまあ、所詮俺。どうせ平均値なのだろう。
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