ファイト・クラブ

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「おらおらおらおらあっ!!」 朝も早くから響く打撃音。 ここはファイトクラブ。 とは言っても両親の遺してくれた家と道場をトレーニング場に改造しただけのワンマンファイトクラブだが。 今日も独り、ひたすらにサンドバックを打つ。 右正拳左正拳右巻き打ち左巻き打ち右突き上げ左突き上げ右肘左肘・・・ ひたすらに連動していく五体を無心に動かし続ける。 剛田流無呼吸連撃。息の続く限りにひたすらに打ち続ける。 もうこれは二十年以上続けてきた儀式のような物なのだ。父が祖父から受け継ぎ、俺が父から受け継いだこの格闘術を風化させないためにひたすらに続けてきた儀式なのだ。 徐々に薄れていく我。 我は消え、ただの連動する肉と化す。 肉は刃となり、槍となり。 そして最後。 「ずぇりぃやぁぁぁっ!」 どぉぉぉん!! 渾身の右後ろ回し蹴りにより、サンドバックを天井に叩きつけて、儀式を終えた。 意識を丹田に集中させて、呼吸を整えるのもまたルーティーン。 「・・・ふぅぅぅぅぅぅ。」
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