俺の妄想

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 それなりにうまく立ち回れていたと思う。周囲も総じて友好的で、居心地だって悪くなかった。  満足だった。自分に相応しい仕事だと思った。それなのに、ここに来て待ち合わせセンターに転属されたのだ。信じられない気持ちで一杯だった。ざらついたものが胸の中に広がり、そんな不吉な予感は的中した。  迷子になった子はことごとく俺に心を開いてくれない。今もそう。対峙している女の子はテーブルに置いた飲み物に手をつけようともしない。チョコレートとお菓子もコップの隣に置いてあるが、それも手付かずのまま。愛想笑いも通用しない。声掛けにも応答がない。 「ジュース嫌いかな? それともシュワシュワするジュースの方が良かったかな?」  微動だにしない。
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