1957人が本棚に入れています
本棚に追加
/236ページ
予感は的中していた。ホテルから見える位置にある学校からは月明かりだけでもわかるくらいにモヤのような物が立ち上り、校舎その物が破壊されているのが見えた。
「せっかく直ったのに……」
「兄さん、今のは何!?」
異変に気づいた妹の朱美、そして田上や刀野に久奈、さらにはロゼルフやサミーラまで駆け寄ってきた。明らかにオロオロしている久奈以外は、彼らも感じ取ったのだろう。
「わからない、学校で何かあったみたいだ。だから今から確認してくる」
「だ、大丈夫なの?」
「大丈夫だ。扇くんたちが心配だし、僕は行くよ」
「お、扇がどうかしたんすか?」
田上の言葉に桐弥は「しまった」と内心で思った。余計な心配をさせたくなかったが、口にしてしまった以上は伝えるしかない。
「……学校には扇くんとニヴィラくんが行ってるんだ」
「な、なんであいつらが学校に?」
「忘れ物を取りに行くとしか聞いていないけど、それにしては時間がかかり過ぎてるから何か話してたのかもしれない。もしかしたら戻ってきてるかもしれないけど、今から僕が確認してくる」
「なっなら私たちもっ…!」
「学校にいるのは本物の悪魔かもしれないんだ。ニヴィラくんのようなハーフじゃない、正真正銘本物の魔物だ。そんな奴がいるかもしれない場所にみんなを連れていけない」
最初のコメントを投稿しよう!