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〈02〉
外は寒くもなく暑くもない。空は晴れていたが私が知っている空よりも薄い青色をしている。どうやら日の光が弱いようだ。建物は皆同じくらいの高さで、隣の家と密接している。なんだか壁みたいだ。
前を歩くイリアスに付いていくと少し大きな通りに出た。人が疎らにいて、それぞれに何かをしている。よく見るとあちこちにお店のようなものがある。
「この街には私たち以外誰もいないのかと思ってたよ」
「そんなことあるわけないだろ。おそらく、お前が思っているよりしっかりした街だ」
改めて辺りを見渡してみる。まだ朝早いのに開いているお店もある。パン屋、魚屋などの食べ物を売るところもあれば、本屋や金物屋もあった。どうやらここは街の主要な通りのようだ。
面白くなってさらによく街を眺めていると、遠くに他の建物とは明らかに雰囲気の違う建物を見つけた。
「イリアス、あれは何?」
「……歩きながら話そう」
彼は大通りに沿って歩き始めた。彼の半歩後ろを私は付いていく。
「いつからこの街が存在するのか、正確に知っている奴はいない。ここの住人の先祖がどこから来たのか、それは現在の住人すら知らない」
彼は言葉を区切り、先ほど私が見つけた建物を見つめた。
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