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〈04〉
「これからお前に俺の友人を紹介しようと思う。裏道に入るからはぐれるなよ」
しばらく歩いた後、彼はそう言って街の外側に伸びる道へ入った。はぐれないように付いていく。細い道を何度か曲がると、こじんまりとした広場のようなところに着いた。
中央に大きな木が植えてあって、その周りにベンチが三つ置いてある。広場の一角には様々な色の花を売るお店があった。
「お花屋さん?」
「ああ、そうだ。お前はそこで少し待ってろ」
彼は私を置いてお花屋さんに入って行ってしまった。することもないのでベンチに座る。上を見ると、建物で空が四角く区切られていて少し面白い。通りから離れているせいか、辺りは静まり返っている
「はじめまして」
どこか舌足らずで、やや高い声がそんな広場に響いた。声が聞こえた方を見ると、黄色いエプロンをつけた小柄な女性がイリアスとともにこちらに向かって歩いていた。
にこやかな表情、くりくりした目とおかっぱのように短い黒髪のせいで日本人形のように見える。おそらく私よりも年上の女性。彼女は私の座るベンチの前で止まると、一度微笑んで、私はシイナですと名乗った。
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