序章 世界の選択

2/2
前へ
/261ページ
次へ
とある遺跡の中、傷ついた一人の青年がいた。 青年の身なりは酷いもので、服は破け、体の所々から血を流していたが、その瞳には何か執念を感じるものがあった。 ああ、やっとだ……やっとここまで来たんだ…… いままで散々酷い目にあった。 皆、皆死んでしまった。 ついさっきまで、共に戦い幾多の困難を乗り越えてきた仲間も俺以外、皆死んだ。 だけど、希望がない訳じゃない、まだ全部諦めるには早い。 そのために仲間を犠牲にしてきたんだ。 心が荒み、何度も投げ出してやろうと思った。 こんなに辛いならもういっそ逃げ出して楽になろうかと思った。 絶望に押し潰されながらも、それでも仲間がいたから投げ出さず、逃げ出さず、少しずつ進んできたんだ。 「さあ、なんでも叶えてくれるんだろ!?」 叫ぶ。 目の前には、光輝き、純白のドレスを身に纏い、見るものすべてを魅了するかのような美貌をもった女性がいた。 「いいでしょう。いってごらんなさい、貴方の願いを……」 「────────────!!」
/261ページ

最初のコメントを投稿しよう!

419人が本棚に入れています
本棚に追加