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とある遺跡の中、傷ついた一人の青年がいた。
青年の身なりは酷いもので、服は破け、体の所々から血を流していたが、その瞳には何か執念を感じるものがあった。
ああ、やっとだ……やっとここまで来たんだ……
いままで散々酷い目にあった。
皆、皆死んでしまった。
ついさっきまで、共に戦い幾多の困難を乗り越えてきた仲間も俺以外、皆死んだ。
だけど、希望がない訳じゃない、まだ全部諦めるには早い。
そのために仲間を犠牲にしてきたんだ。
心が荒み、何度も投げ出してやろうと思った。
こんなに辛いならもういっそ逃げ出して楽になろうかと思った。
絶望に押し潰されながらも、それでも仲間がいたから投げ出さず、逃げ出さず、少しずつ進んできたんだ。
「さあ、なんでも叶えてくれるんだろ!?」
叫ぶ。
目の前には、光輝き、純白のドレスを身に纏い、見るものすべてを魅了するかのような美貌をもった女性がいた。
「いいでしょう。いってごらんなさい、貴方の願いを……」
「────────────!!」
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