22人が本棚に入れています
本棚に追加
「え?そんな美味しいことしてるの!?」
奈々が驚いたように叫ぶ。
「水臭いよ晶ちゃん。言ってくれればあたしたちも練習付き合うのに」
幸子ちゃんがぷうと頬を膨らませる。
二人に黙っていたのは申し訳なかったが、あたしは歌が上手いというわけではなく、人前だとどうしても上がってしまい、いつものように本領を発揮できない。
「ごめんね。その、恥ずかしかったの。あたし、歌うのは好きだけど上手いわけじゃないし、人がいると上がっちゃって声すら出せなくなるの」
そう答えたあたしに、奈々が首を傾げた。
「そうなの?でも一人で歌の発声練習しているってことは、晶。あんた、プロのボーカル目指してるの?」
痛いところをつかれた。
目指しているわけではない。ただ、歌うのが好き。そして、三年前の彼のような歌を歌いたい。
最初のコメントを投稿しよう!