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そう、奴の席はあたしの斜め後ろだ。
いやだ、いやだ、といつもそちらには視線を合わせないようにしている。
だが今日はさっきの事もあり、少し気になり、そろりと彼の方に視線を向けた。
如月麗慈は眠たそうにあくびを噛み締め、ゆっくりとあたし達のいる席に近づいてくる。
さすがに近くまで来たら、奈々も口を閉ざしていた。
彼はすっと横を通り過ぎた。ほっとしたのも束の間、今日は本当に運が悪い。
通り過ぎたと思った矢先、彼の足が机の横にかけていた通学用鞄に当たる。そのまま口を開けていたため、鞄の中に入れていたウォークマンが落ちてしまう。
ガシャンッ!と落ちて、それに彼の足が当たり、ウォークマンはクルクルと回りながら後ろの方へ滑って行った。
「あ?」
「あ!!」
あたしと奴の声がハモる。
驚いて声を上げたあたしと、何をしたのかわからないような奴の声。
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