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ぽかん、と後ろに滑っていったウォークマンを見つめる。
「ちょっと!あんた!」
すると奈々が怒ったように、声を上げた。
それにハッと我に返り奈々の方に顔を向けると、彼女は立ち上がって、あたしの横後ろに立っている如月麗慈を睨みつけていた。
ひいっ!!奈々!あんた、なにしてんの!?
顔が青ざめるのが分かる。
「あんた、今蹴ったわね」
奈々が尋ねる。
「あ?なんだお前」
突然怒鳴られた彼は眉をひそめ、奈々を冷たく見据えた。
「この子の鞄にぶつかったよね。そんで今、なんか蹴ったじゃん!謝りなさいよ!」
イライラした様子で奈々が怒鳴る。
ちょっとちょっと奈々さん!!あんた、あたしの話しないでよ!ああ、幸子ちゃん!お願いだから止めて!
横にいる幸子ちゃんに救いを求めるように彼女の方を振り向くが、彼女も彼女であたしと同じように青ざめ、オロオロしている。
如月麗慈は奈々の態度に苛ついたのか、チッ!と舌打ちした。
「なんで俺が謝るんだ?ぶつかったって、わざとじゃねぇよ」
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