第1話 幻の曲

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********* ちょっとした英雄になった。 如月麗慈に怒鳴りつけたあたしが。 真面目で控えめなイメージしていたのに実は違って面白いとか、あの如月に怒鳴る勇気があってすごいとか、意外でびっくりしたとか。 とにかくあれからわらわらと周りに人が集まってきて、ろくに奈々とも話せなく、六時間目終わりホームルームを終えて放課後になった。 「アキラっち!今日は楽しかったよ!」 バイバイ!と手を振って帰宅する派手にメイクしたクラスの女子たち。 「じゃあな、また!」 それに続いてあたしに声をかけて、部活に出て行くクラスの男子。 すっかり有名人だぜ!と喜びに浸る場面だが、あたしの場合は慣れないことでぎこちなく「バイバイ」と返事を返していた。 問題の如月麗慈はずっとご立腹だった。ホームルームが終わると直後に教室を出て行った。 あの様子からして、やはり相当根に持ったようだ。 やっとクラスメイトから解放されたが、あの如月に恥をかかせてしまったのだ。後が怖い。
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