プロローグ

2/3
22人が本棚に入れています
本棚に追加
/347ページ
ーーふとしたときに訪れる、運命の瞬間。 知らない人ばかりの仲良くないクラス。 自分が空気のような存在でいる中、クラスの一番美少女である女子から陰湿ないじめを受けている日々。 今日も虐められるのかと思うと気持ちがめいって、足取りが重くなる。 それなのに空は澄んだように青く、雲ひとつない綺麗な快晴だ。 ああ…。このどんよりした気持ち、一体どうすれば晴れるだろうか。 はぁ~~と深いため息をついたその瞬間、歌が聴こえた。 甘く、凛とした綺麗な歌声。 思わず足を止めて歌声のした方へと顔を向けると、右手にある店のショーウインドーのテレビからその歌声は聴こえた。 テレビに映るのは、白皙の美少年。マイクを握って曲に合わせて体を揺らし、優しい声で歌を歌う。 初めて聴く曲なのに、なぜか懐かしい気持ちにさせられ胸が締め付けられた。 ふいに頬を温かい涙が流れた。
/347ページ

最初のコメントを投稿しよう!