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屋上は風が強かった。
う、と思わず目を閉じて、ゆっくりとあたしたちは奥のフェンスに行く。
その下には運動場が見える。部活時間なので、サッカー部と野球部が練習をしていた。
「晶、さっきは余計なことしてごめん!」
奈々が、先に頭を下げて謝った。
「いや、こっちこそ!いきなり怒鳴りつけてごめん。びっくりしたけど、嬉かったよ」
そう、あたしの代わりに奈々があの望月麗慈に怒ってくれたこと。
ちゃんと、その想いは届いた!
にへらと笑うと、奈々もにへらと笑い、あたしたちはどちらともなく笑い合った。
「ああ!こんなに笑ったの久々だ!!」
奈々が空に向かって叫ぶ。
「あたしも!いいね、これが青春!」
なんて、口に出して叫ぶと、奈々がこちらを見て、「もうそれは言わないでよ!」と照れたように怒ったフリをした。
それにあたしは笑う。
「それにしても…。晶、むし返すようで悪いけどさ、本当に良かったの?」
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