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奈々が心配そうに言った。
「ん?ああ、如月麗慈のこと?大丈夫よ」
あいつのことだ。報復されるんじゃないかと、奈々も心配していたらしい。
笑ってそう言うと、奈々はちゃうちゃう、と首を振った。
「如月麗慈のこともそうだけど、あんた、あのとき確かに何か落とされて蹴られたじゃん。見つけなくて良かったの?」
奈々の言葉にあたしは一瞬キョトンとして、すぐにハッと思い出して青ざめた。
「あああ!?しまった!忘れていた!」
なんてことだ!
すっかり忘れていたよ!
ウォークマンの中には、あの大事な曲がインプットされている!
慌てふためくあたしに奈々は驚き、あきれた。
「あんた、忘れていたのか。なら早く行った方がいいじゃないの?今なら教室に誰もいなさそう!」
「う、うんそうだよね!じゃあ、あたしは先に教室に戻るわ!奈々はどうする?」
「あたしはもうちょっとここにいるよ。そしたら部活に顔を出すわ」
奈々は美術部だ。
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