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見た目に騙され近寄る女は山ほど居るらしく、来ては拒まず去っては追わずを繰り返して特定の彼女を作らないようだ。
固まって動かないあたし。
「ちょっとあんた!ブスは、ブスらしく日陰にいなさいよ!ちんたら歩いてんじゃないわよ」
そう唾を吐きそうな勢いで叫んだのは、左隣にいる女子生徒。
つり上がった目をこちらに向けて、あたしを睨みつけている。
「す、すいません!ごめんなさい」
怖くて、慌てて謝る。
「あははっ。だっさー。この子、震えちゃってるよ」
「このみぃ。笑っちゃいけないって」
左手にいる女子生徒はこのみというらしい。このみの言葉に怯えたあたしの姿に右手の女子生徒はクスクス笑った。
ひどい!!
公衆の面前でバカにされた。かあ、と顔が赤くなる。
「邪魔だ。どけ、ブス」
それに追い打ちをかけるように、如月麗慈が冷たく言った。
途端に周りで成り行きを見守っていた生徒から、憐れみに失笑。
全身が震え、目に涙がたまる。
あたしはたまらずに、その場を走り去った。
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