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走って走って、教室の前につく。
如月麗慈は、最悪にも同じクラスだった。奴の取り巻きは、隣のクラスの女子生徒だった。
彼奴らが戻ってくる前に、あたしは教室に入り、なるべく目立たないように気配を消した。
今は、昼休みだ。購買にパンを買いに行ったのがいけなかったのだ。
ため息をついて、暗い顔で二人の友達の前に行く。
こんなあたし、高梨晶は昔から人見知りが激しく、内気な性格をしており、顔も十人並みの眼鏡をかけた地味女だ。
腰まである長い髪を三つ編みして、制服のスカートは買ったときと同じ膝下の長さ。
もちろん彼氏なんて出来たこともなく、男子を好きになってその恋が叶った試しもない。
そんな地味なあたしだが、クラスには同じ趣味を持つ二人の友達、木下奈々と鈴木幸子がいる。
「あら、随分遅かったじゃん」
おにぎりを食べていた奈々が、あたしに気づき声をかけてきた。
「ほんと遅かったね晶ちゃん」
おっとりした喋り方の少しぽっちゃりした幸子ちゃんが、にこりと笑う。
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