第1話 幻の曲

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「あ、ごめんごめん。購買混んでて」 さっと笑顔を浮かべてそう口をついたあたし。 自分の席について、机に苺ジャムパンとカフェオレを置く。 「あー、確かに購買って毎日人で溢れているよね!」 奈々の言葉に頷くと、幸子ちゃんが笑う。 「そうだよね。みんな購買でパン買ってるよね。あ、晶ちゃんは今日は苺ジャムね」 丸い形のパンの中に苺ジャムが入っている。 「うん。昨日はカツサンドだったから、今日は甘い物でいこうかと思って」 袋から取り出し、ジャムパンにかぶりつく。 そんなあたしの言葉に奈々がため息をついた。 「栄養がないじゃないのそれ。弁当作ればいいじゃないの。あんた料理上手なんだし」 奈々は奈々で、年の離れたお兄さんが作ってくれている。ちなみに幸子ちゃんは自作だ。今日もカラフルな弁当だ。 「えー…学校に来てまで自分のご飯食べたくないの」 そう答えると、奈々がニヤリと笑った。
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