宇宙人からの贈り物

2/4
前へ
/4ページ
次へ
 それは遠い宇宙からの贈り物であった。地球の人々は初めての宇宙人からの贈り物に興奮を隠せずにいた。  地球が、その星と交信を始めたのはずいぶんと昔のことになる。どんなに技術が発展したとしても交信技術に用いられる電波の速度だけは変えようがなかった。アインシュタインが提唱したように光りの速度を超えることは簡単にできることではなかった。よって、その星との交信も人々が想像するような快適なものではない一度の交信に何日も時間を要するものであった。それも、初めて宇宙人と交信できた時の人々の歓喜は素晴らしかった。単純な挨拶を、時間を掛けて交わしただけだというのにまるで、奇跡でも起きたかのような喜びよう。きっと、昔の人が初めて電話が出来た時は、こんな感じだったのだろう。  年月をかけて相手の星と交信を繰り返した。お互いの信頼が気づけたところで、相手の星が友好の証として地球に贈り物をしたいと申し出てきた。 「どんなものを送っていただけるのですか?」 「それは、着いてからのお楽しみです」  何とも気をもたせる内容の通信であった。地球は宇宙人の言葉を信じて、何が届けられるのか胸を躍らせて待っていた。  そして、ついにこの日、地球に贈り物が届いた。  それは五十センチ四方の大きなサイコロのような箱であった。最初は隕石か何かと思われたが、途中から、その軌道は明らかに人為的な動きを感じられた。すぐさま、各国の天文台はその物体がどこに落ちるのか推測し、その場に大勢の人が集められた。科学者やその国の代表者はもろんのこと、マスコミに引き寄せられるように野次馬まで集まった。  遠巻きに監視を続けていたが、物体が安全なもので分かると人々は箱に寄っていった。箱の表面には小さな文字が彫られており、この箱が宇宙人から送られたモノであることを記していた。  ついに宇宙人から贈り物から届いた。熱気に満ちた歓喜に辺りは包み込まれた。しかし、そんな人々とは対照的に科学者は冷静に真面目な意見を述べのであった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加